植物の植物による植物のための植物化学成分

 

植物は自分のために化学成分を作り、光を求めて枝を伸ばし、水を求めて土壌に根を張っています。

今日は、植物化学成分を自己防衛や情報伝達など植物側の視点から考察してみましょう。

 

①タンニン

渋み成分のタンニンは藻類から種子植物まで幅広く存在し、身を守るための原始的な化学成分と考えられます。収れん性の渋い味は食欲をなくし、消化不良もひき起こします。

 

実際に、ヤナギの葉を傷つけると昆虫に食べられたと判断するらしく、タンニンが増加します。

 

緑茶カテキンの抗菌性は植物に備わる基本的な能力です。その収れん性から外傷や下痢などに対しても用いられますね。

植物でも傷口の保護に利用しているらしいですよ。

 

②フラボノイド

フラボノイドはコケ類からの陸上植物に分布します。どうやら、陸に上がった植物が有害な紫外線から身を守るために進化させた抗酸化成分のようです。

ヒトにとっても抗炎症や抗アレルギーなど体内環境を整えますが、元来植物の身を守る成分であることを考えると、さもありなん、ですね。

他にも、花粉や蜜のありかを昆虫に教える目印、チョウの産卵刺激作用、マメ科植物でのイソフラボノイドの根粒菌誘引作用など、他の生物とのコミュニケーション機能を果たしていることもわかってきています。

抗酸化作用から次々と用途が広がってきているのは面白いところです。

 

 

③精油成分

気体となって空中を漂う精油成分は、切れ味良く身を守るための防御物質です。ジュニパーやサイプレスなどの針葉樹は、特に精油を多く含有する仲間です。

針葉樹は古い時代から地球上に存在する裸子(らし)植物で、花粉も種も風で飛ばすものが多いのが特徴です。他の生き物と仲良く生きるより、孤独を選んでいるようにも思えます。針葉樹の凛とした香りには孤高に生きるスピリットを感じるのです。

 

時とともに、植物は受粉のためにも精油を作るようになりました。ネロリやローズなどの花の香りは昆虫の誘引、すなわち子孫を残すための香りです。これがヒトにとってホルモンバランス調整や緩和作用を持つのは興味深いですね。

 

また、精油は情報伝達にも利用できます。先のヤナギの実験では、鉢植えで置かれた隣のヤナギにもタンニンが増加することが観察されていますが、「タンニンを増やした方が良いよ。」という情報が、空中を伝わっているようなのです。想像すると、森の中を歩いていても植物同士の会話が聞こえてくるようです。

 

④アルカロイド

ケシのモルヒネに代表されるように医薬品になっているものが多く、神経系を発達させた動物(昆虫を含む)から防御するために進化した物質のように、私は感じます。

植物界に広く存在するのではなく、一部の被子植物(キンポウゲ科、ケシ科、ナス科など)に存在する毒成分です。それだけに、彼ら独自の積極的な攻撃の姿勢を感じます。

ヒトの苦み感覚は、毒を認識するための防御機構と考えられています。現代ではカフェインやタバコのニコチンは嗜好品ですが、植物が動物の神経をイカレさせようとして作った物質だと考えると、ちょっと怖いですね。

 

 

おわりに

植物の生きざまに思いを馳せるとき、植物の強靭な生命力が私たちにエールを送っているように感じます。

さらには、自然界の大いなる営みの中に私たちが存在することをも感じさせてくれます。

植物からのメッセージを受け取るとき、新たな植物療法の可能性が広がるかもしれませんね。

 

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プロフィール

飯田 みゆき
飯田 みゆき森と魂のセラピスト
薬剤師・森林インストラクター・メディカルハーブプラクティショナー・ドルフィンスターテンプル認定ヒーラー・日本森林療法協会元理事