魂の癒しは宇宙の進化に向かう道
私は、自然ガイドから森の癒しへ、心の癒しへと導かれて現在に至ります。
自然を好きになる喜びから↓
自分も好きになる森の癒しへ。↓
嫌いな自分も抱きしめる心の癒しへ。↓
でも、どうしてもよくわからないことが二つありました。
ひとつは、自然第一主義の環境保護。
人間活動の地球環境への影響を知れば知るほど、環境に影響を与えずには生きていけない自分の存在を否定せざるを得ない。私なんていないほうがいいじゃない。どうして人間がこの地球に誕生したのか、わからなかった。
もうひとつは、直感第一主義のスピリチュアル。
目の前の現実世界を自然科学的に思考することなく、感じることを大切にする。自分の内側だけでなく、外側から聞こえる声、宇宙人、天使など見えない存在の声を大切にする。
もちろん、感じることはとても大切なのだが、思考を放棄することは何かが違う。自然科学が発達した世界に生まれ、その恩恵を享受する者として、自然科学をなかったことにすることは、やはり自分を否定することになってしまう。
もともと自分が嫌いだった私は、どうしてもこの自己否定の沼に足を取られて動けなくなってしまう傾向がありました。
この二つの疑問にきれいに答えてくれたのが、ケン・ウィルバーの『進化の構造』でした。
これを読んだ時、涙が出るほどうれしかったことを覚えています。
人間として生まれた自分には意味がある。
自然科学の発達にも意味がある。
私はこの地球にいてもいい。
そう、感じました。
以下は、上記の本を読んで私なりに導き出し、理解した答えです。
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魂の願いは「生物圏」と「心圏」新たな統合
ケン・ウィルバーによれば、宇宙には一定方向へ進化する力が働いていると言う。
「宇宙に充満する究極的な本性とは、新しい統合を生み出すことへの終わりなき動因である。(ホワイトヘッド)」『進化の構造・ケン・ウィルバー』より
【筆者注】ホワイトヘッド(1861年-1947年)は、イギリスの数学者、哲学者です。
新しい統合を生み出すためには、まず違う性質が差異化、多様化し、次にその差異化、多様化した性質が再び組織化、統合されていく。新しい統合は前の性質と新しい性質の両方を含み、より複雑になっていく。
宇宙の進化はこの繰り返しだというのです。
地球上では「物質圏」からより複雑になった生命、「生物圏」が誕生しました。
その後、神経系の発達により生命とは異なる性質を持つ感情や思考の「心圏」が誕生しました。「生物圏」から差異化した「心圏」はどんどん多様化し、動物、そして人間が誕生しました。
人間は宇宙進化の過程で必然的に生まれた存在なのです。
そして、差異化、多様化した「心圏」は「生物圏」と新しい統合を生み出す方向に動因されています。
新しい統合は「生物圏」と「心圏」の性質の両方を含む、より複雑になった状態であるでしょう。
それが、アセンションとか、五次元の世界とか言われるものであり、マズローやケン・ウィルバーの言うトランスパーソナルの段階と、おそらく同義。
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つまり、現在の地球は「生物圏」と「心圏」の新しい統合に向かって進んでおり、それが魂の願う方向です。
だから、私たち人間は「生物圏」と一体化した状態に戻るのでもなく、ただ「心圏」のみを真実とするのでもなく、新しい統合へと歩いていくことが求められているのです。
人間の自然への回帰を謳う「自然第一主義の環境保護」は、「生物圏」と一体化する状態に向かう生き方。
目の前の現実を思考しない「直感第一主義のスピリチュアル」は、「心圏」のみを真実とする生き方。
どちらも、魂の願いである宇宙進化の方向、新しい統合に向かって歩いていない。
では、どうしたら新しい統合に向かって歩き出すことができるのだろうか。
新しい統合に向かうために。
①思考の力で「生物圏」と「心圏」をしっかり差異化する。
当たり前ですが、私たち人間の身体は原子という「物質圏」の存在であり、生命エネルギーが働く「生物圏」の存在です。この「物質圏」「生物圏」について明らかにしようと思考するのが、自然科学です。
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16世紀からの自然科学の発達は、人類が「心圏」を使って「生物圏」を視る、つまり「生物圏」と「心圏」の差異化の過程であったと考えられます。一度分離しないと、外から視ることはできないからです。
まずは、しっかり差異化すること。
自然科学も地球進化の過程で必然の誕生でした。
思考よりも直感第一主義のスピリチュアルは、「心圏」を重視しているように見えて、実は「生物圏」と「心圏」の一体化に戻る状態です。
癒しの世界では、とかく思考は悪者になりがち。
しかし、宇宙進化の方向、「生物圏」と「心圏」とが新しく統合するためには、差異化の過程、客観的に「生物圏」を観る自然科学の合理的思考は避けて通れないのです。
ウィルバーは言います。↓
「現在、世界の人々の大部分が必要としているのは、まだ合理性を超越する道ではなく、合理性に至る道のようである。」
「高次への発達は確かに理性を超えたところにある。しかし決して理性より低いところにはないのである。」『進化の構造』より
②「生物圏」と「心圏」に思いを馳せる世界観を持つ
ところが、現代は「生物圏」と「心圏」の分離が行き過ぎてしまい、自分の内部に「生物圏」と「心圏」があることを忘れがちです。西洋医学の様々な問題は、そこから来ていると思います。
感情の表現を良しとせず、思考を重視する傾向も行き過ぎた分離の症状でしょう。
感情は、身体と密接な関係にある「生物圏」に近い「心圏」です。現代の私たちは、思考を優先して感情が置き去りになりがちな日常を送っています。
思考の大切さを胸に抱きつつ、今一度、私たち内部の「生物圏」と「心圏」に思いを馳せる統合的な世界観が望まれます。ボディ・マインド・スピリットのつながりを大切にするホリスティックな世界観です。
そのとき、「生物圏」との一体化は最終目標地点ではなく、次に続く新たな統合に向けての一時的なステップであることを忘れてはいけません。
ホッとする、安らぐという癒しは、「生物圏」と離れすぎてしまった「心圏」を一時的に「生物圏」との一体化に戻す営みです。
森林療法、植物療法、グラウンディング、感情を解放するセラピー、すべて「生物圏」である自然界や身体とのつながりを取り戻す作業なのです。
☆
そして、鉱物と同じ輝きを持つ「物質圏」のワタシ、植物と同じ叡智を持つ「生物圏」のワタシに思いを馳せることができるのは、想像力を持つ思考の力です。
私たちは、自然科学の学びを通して「生物圏」に思いを馳せることができる生き物です。「心圏」を持つ人間として、宇宙の進化のためにできることがあるはずです。
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③差異の中に同一性を見出す思考の力を鍛える
「生物圏」から差異化されて多様化した「心圏」を、再度組織化し、「生物圏」と新たに統合するために必要なのは、差異の中に同一性を見出す思考の力であり、非視点的な思考の力です。
昨今、注目されている多様性(ダイバーシティ)は、「みんな違ってみんないい。」という差異(違い)を尊重するものの見方です。しかし、それでは統合に向かうことができません。
統合への第一歩は、差異の中に同一性を見出すことです。
そのためには、ひとつの物事を多方向から見る多視点的なものの見方、透明になるまで無限の方向から視点を照射する非視点的なものの見方を要します。
これは、とっても難しい思考の力です。
自分とは違う考え方に心を寄せられるか、違いの中に私と同じものを感じられるか。U理論でいう「他人の靴を履く」ことができるか。
思考の鍛錬が必要です。
私もまだまだ道の途中ですが、アールド・ミンデルのプロセスワークでその一端を感じさせてもらった気がしています。
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人間と人間とがガチンコで自分の願いと繋がり合ったその先に、社会の調和が現れてくると感じるのです。↓
多視点的な思考の鍛錬には、人間とは全く違う生き方の自然界の叡智を学ぶことは有意義であると思っています。
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ルドルフ・シュタイナーも以下のように言っています。↓
「自然界の叡智は自我の中で内面化されると愛の萌芽になる。愛とは自我の中で再び甦った叡智のことである。」『神秘学概論』より
愛とは、「心圏」と「生物圏」との新たな統合のことかもしれないですね。
④個人個人が「心圏」の成長に取り組む
地球上で新しく誕生した「心圏」は、まだまだ未熟。「生物圏」との新たな統合は、より複雑さが増す高次なアップデートです。そのためには、個人個人が「心圏」の成長に取り組み、新たな統合が可能になるレベルまで「心圏」も複雑さを発達させなければなりません。
「心圏」の複雑さを発達させるのが心の癒しなのでしょう。
19世紀後半からの心理学の発達もまた、宇宙の進化過程の必然なのだと思います。
魂の癒しは、宇宙進化の呼び声に耳をすますこと
魂の癒しは宇宙の進化に向かう道であり、それは「心圏」と「生物圏」との新たな統合への道。思考にこそ、その道を歩く原動力が隠れています。
スピリチュアルとは、単に「思考を捨てて、直感で生きる」なんてものではありません。
しっかり思考して、その上でやってくる直感に耳を澄ますこと。
多視点から非視点へ、透明なった思考は宇宙、大いなるもの、魂が呼びかける直感を受け取ることが可能になります。
それが、スピリチュアリティに目覚めることだと思うのです。
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私にできることは、学んだこと、感じたことを記述すること。
目に見える世界から目に見えない世界を語ること。
今回の「生」では、私はチャネリングできるわけではない。
ナチュラルライフを提供できるわけではない。
それでも、宇宙の呼び声に従って、この地球で今できることをしていきたい。
プロフィール

- 森と魂のセラピスト
- 薬剤師・森林インストラクター・メディカルハーブプラクティショナー・ドルフィンスターテンプル認定ヒーラー・日本森林療法協会元理事
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