針葉樹という生き方

昨日、植物はとっても自由奔放に感じると書きましたが、針葉樹の仲間に関しては、実は不器用だなと感じています。

 

針葉樹は葉っぱが尖っているタイプの樹木で、マツ、スギ、モミ、ヒノキなどがあります。

まっすぐに伸びる樹形も印象的ですね。

 

針葉樹の仲間は「裸子(らし)植物」と言って、おおよそ2億5000万年前ごろに地球上に出現したそうです。

その1億年後、約1億5000万年前頃には、より進化した繁殖システムを持つ「被子(ひし)植物」、広葉樹の仲間が現れました。

 

私たちがいつも親しんでいる植物はほとんどがこちらで、受粉や撒種に他の生き物を利用するようになった植物たちです。

現在、「被子(ひし)植物」は25~30万種、地球上でもっとも繁栄している植物といわれています。

 

一方、針葉樹の仲間「裸子(らし)植物」は約540種程度で、「被子(ひし)植物」と比べると とっても少ないです。

受粉は風任せ(スギ花粉は風に乗って飛んできますね~)。

種も風に任せて飛ばすものが多いです。

 

アロマセラピーを学んだ方なら、針葉樹には精油が多く含まれていることをご存じだと思います。ジュニパー、サイプレス、北海道モミなど、針葉樹の精油は森林らしい香りを持ち、抗菌効果が高いものも多く知られています。

 

もうひとつ、「被子(ひし)植物」・広葉樹の仲間は、一度切っても脇から脇芽(ひこばえといいます)が出てきますが、針葉樹はあまり出てこないことが知られています。

針葉樹は屋久スギのように一つの個体が長生きする仲間ですが、一度切られたら、その個体の生命は終わることが多いようです。

 

そんな針葉樹、私には孤高の生き物に感じられます。

針葉樹が繁栄した時代、まだ動物は敵であり、共に生きる存在ではなかったのかもしれません。

精油の香りで他の生き物を寄せ付けず、花粉も種も、風で飛ばす。

 

新しく出現した「被子(ひし)植物」は、香りや蜜をもつ花を作り、みずみずしい果実をつけて昆虫などの動物と共に したたかに しなやかに多種多様に進化して生きています。

 

針葉樹は色鮮やかで香り豊かな花をつけることもなく、甘くておいしい果実を実らせることもありません。

それでも、マツもスギもモミもヒノキも私たちの生活の中で愛され、親しまれているのは何故でしょう?

 

私は、針葉樹の香りには、ユリやバラなどとは異なる神聖さを感じます。

孤高に生きる針葉樹の、凛としたスピリットを感じるのです。

 

神社やお寺で出会う、樹齢何百年ものスギやヒノキの、まっすぐに伸びた樹木に感じる、神聖さ。

不器用だけど、ありのままに生きる。

 

そんな生き方も、またいいなぁと思うのです。

プロフィール

飯田 みゆき
飯田 みゆき森と魂のセラピスト
薬剤師/公認心理師/産業カウンセラー/プロセスワークプラクティショナー/森林インストラクター/森林セルフケアコーディネーター/メディカルハーブプラクティショナー/ドルフィンスターテンプル認定ヒーラー/日本森林療法協会元理事

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