癒しの第3ステップ~人類が進化する力を信じる【魂の癒し】
癒しの第1ステップは、ホッとする、安らぐ【生物の癒し】です。
第2ステップは幸せになる力を感じる【心の癒し】です。
癒しにはさらに次のステップが存在します。
それは、人類が進化する力を信じる【魂の癒し】です。
癒しの第3ステップは自己超越の欲求
マズローは晩年に第6段階として⑥自己超越の欲求を提唱しました。
【マズローの欲求段階説】
①生理的欲求
②安全・安定の欲求
③所属と愛の欲求(社会的欲求)
④承認の欲求(尊厳欲求)
⑤自己実現の欲求
⑥自己超越の欲求
⑤自己実現の欲求が満たされた次には、⑥自己超越の欲求が生まれるというのです。
自己超越とは、自己を超えて他(他人、自然も含む)とつながること。
ケン・ウィルバーは、意識を3つの水準に分類し、トランスパーソナルの意識が、⑥自己超越の欲求の段階であるとしました。
【意識の三つの水準(ケン・ウィルバー)】
(1)プレパーソナル
自我を確立する以前
(マズローの①~④の段階)
(2)パーソナル
自我を確立した水準。
(マズローの⑤自己実現欲求の段階)
(3)トランスパーソナル
自我を超えていこうとする高次の心(意識)の水準。
(マズローの⑥自己超越欲求の段階)
日本トランスパーソナル学会会長の諸富祥彦先生は、トランスパーソナルの定義を個が生きるつながりと表現しています。
マズローは、トランスパーソナル心理学を「人間の欲求や関心よりもむしろ宇宙そのものを中心におく心理学」と言っています。
第四の心理学、それはトランスパーソナル心理学で、超人間的な心理学。
人間性やアイデンティティや自己実現などを超えていく心理学。
人間の欲求や関心よりもむしろ宇宙そのものを中心におく心理学。
(『存在の心理学に向けて』マズロー,1969)
このようなトランスパーソナルの水準は、スピリチュアル業界でのでのワンネス、般若心経の「色即是空、空即是色」、禅の「大我とは無我である」のような状態だと推測できます。
人類は秩序、複雑性、つながりを形成する方向に進化している
現代社会には多くの問題があり、自然界も危機にさらされています。
そんな中、私たちの魂は自分だけでなく、自己を超えて自然界をも含めた「世界」を幸せにする力を発揮することを望んでいます。
それは、とっても自然なこと。
なぜなら、宇宙はビッグバン以来進化を続けていて、私たちもその延長線上にいるからです。
物質的な宇宙はビッグバンから始まり、原子、分子、恒星、銀河系、銀河団が誕生してきました。それは、秩序、複雑性、つながりを形成する方向への進化です。
ビッグバンが起きて、
↓
『物質界』が誕生。
地球では生命体が『物質界』と統合して、より複雑化した『生物界』へと進化。
↓
さらに複雑化した神経系、『心界(感情や思考)』を持つ動物や人間が誕生。
宇宙の進化はここで終わりではありません。
宇宙の進化が秩序、複雑性、つながりを形成する方向であるならば、この先の進化は意識の深度の深まり、拡大であるでしょう。
それこそが、マズローの言う⑥自己超越の欲求であり、ケン・ウィルバーの言うトランスパーソナル水準。
そして「アセンション」であり「次元上昇」なのだと、私は思います。
私たちの人類の魂は、宇宙の進化である秩序、複雑性、つながりを形成する方向、意識の深度の深まり、拡大への進化を願っています。
それは、自己を超えて「世界」を幸せにする力を発揮すること。
「世界」を幸せにするには、「自分」を幸せにする段階を超えていかなければならない。この段階が意外と難しいのが私たち人間です。
個人個人がホッとして安らぎ(癒しの第1ステップ)、「幸せになる力」を感じられたなら(癒しの第2ステップ)、さらに奥に存在する魂の願い、「世界」を幸せにする力への扉が開きはじめます。
この願いに向かって歩く道のりこそが、癒しの第3ステップ。
それは、人類の進化を信じる道のりでもあります。
森で癒され、自分とつながり、「幸せになる力」を感じた体験は社会問題にも取り組む勇気をくれました。
私は、ようやくその扉に手をかけたところです。完全に扉を開く勇気はまだなく、閉じたり開いたり、扉の奥の世界をのぞいているという感じでしょうか。
それでも、自己否定の塊だった自分が、ようやくここまで来たなぁと思っています。
人類が進化する力を信じる終わりのない旅路
私は、なぜ生まれてきたのか
私たち人間は、なぜ生まれたのか。
これは、私たちが一度は思い悩む問いではないだろうか。
私も中学生の頃は、生きるのが辛くて、なんで生まれてきたんだろう?と、疑問に思っていました。
他人を傷つけ、自然を破壊し、地球の存在をも脅かす存在である人類。
その一員であるワタシ。
ワタシなんていてもいなくても同じ。
いや、いない方がよい。
地球を守るためには、人類が滅亡した方がいい。
そんなことを考えていた時期もあります。
だけど、その考え方では、私は幸せを感じることができなかった。
私が、私たちが生まれてきたことには意味がある。
その意味はなんだろう?と、問いかけ続けることが、今、ココに存在する自分に価値を感じる方法だったかもしれません。
今、私が感じている答えは、私が生まれてきた意味は宇宙の進化に貢献するため。
スピリットからビッグバンを経て、生まれた私たち。
複雑性を増しながら、もう一度スピリットへ帰っていくのが魂の願い。
魂の願いである人類の進化を信じることが、癒しの第3ステップ。
それは終わりのない旅路だけど、西の魔女のおばあちゃんもこう言っているのだから、あきらめましょう。
↓
魂は成長したがっているのです。それが魂の本質だから仕方がないのです。
西の魔女が死んだ (新潮文庫) [ 梨木香歩 ] 529円楽天より
この旅路を歩いていると自覚すること、それ自体が「癒し」なのだとしたら、歩いていける気がする。
プロフィール
- 薬剤師/公認心理師/産業カウンセラー/プロセスワークプラクティショナー/森林インストラクター/森林セルフケアコーディネーター/メディカルハーブプラクティショナー/ドルフィンスターテンプル認定ヒーラー/日本森林療法協会元理事
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