「アセンション」とは
いま、スピリチュアル界隈で話題にになっている「アセンション」。
私はまんざら絵空事ではないと思っています。
今日は、私なりの「アセンション」を定義してみますね。
「ascension」の意味
まずは、英語の語源から見ていきましょう。
「ascension」は、動詞「ascend」の名詞形です。
ascendの意味は「登る」で、語源はad(方向)とscandere(登る)に由来します。
『読む語源学』より
「登る」という意味を持つ「scend」という英単語があるんですね~。
「scend」:波などの自然力の影響を受け、上昇する、または上方へ持ち上がる
自力で頑張って登るよりもナチュラルにあがっていく感じですかね。
そして「ascend」は、
「ascend」:(上方に)登る、上がる、立ちのぼる、上りになる、騰貴する、(地位的に)向上する
こんなのも見つけました。↓
ascend: to move up through the air, to move to a more important or responsible job, or to move higher in rank(ロングマン英英辞典)
以上から察するに、なんとなく、ふわ~っと、のぼって大切な場所にいく感じですかね。漢字なら「昇る」感じ。香りを意味する「scent」とも関係ありそうですが、出典はみつかりませんでした。
その名詞形の「ascension」、なんとなくイメージがつかめてきました。
「ascension」の主な意味:のぼること、上昇、キリストの昇天
そして、スピリチュアルの世界では惑星の次元上昇を「アセンション」と呼んでいます。⇒wikipedia『アセンション』
なんだか上の方へふわ~っと昇っていく感じですね。
惑星の次元上昇とは
では、スピリチュアルでいう「次元上昇」とは何でしょうか。
私は、宇宙の進化だと理解してします。
引き寄せの法則のエイブラハム、光の存在オリン、ルドルフ・シュタイナー、インテグラル理論のケン・ウィルバー、その他スピリチュアル系、心理学系の本、みんな同じことを言っています。
それは、「私たちは進化している」ということ。
宇宙に充満する究極的な本性とは、新しい統合を生み出すことへの終わりなき動因である。(ホワイトヘッド)
「『進化の構造』ケン・ウィルバー」より
物質的な進化
物質的な宇宙はビッグバンから始まり、原子、分子、恒星、銀河系、銀河団が誕生してきました。
進化の方向は複雑性・多様性が増しながらも、秩序・つながりを形成する方向です。。
地球上では、物質よりも複雑な自己複製能力を持つ生命が誕生しました。
生命は単細胞から多細胞へと進化し、より複雑な神経ネットワークを持つ動物が誕生しました。動物は神経活動としての感情を持って生きています。
神経ネットワークはさらに複雑になり、思考を持つ人間が誕生しました。人間は感情と思考を駆使して複雑だけど秩序ある社会を形成しています。そして、どんな社会的動物もなしえない大集団を形成してきました。
ここまでは、目に見える宇宙の進化、自然科学と社会科学の分野です。
しかし、物事には目に見える外面的な側面のほかに、目に見えない内面的な側面があります。さらには個的な側面と集合的な側面にも分けられ、この4面が同時に進化してきています。
(ケン・ウィルバー『進化の構造』より筆者が改編)
この中で、自然科学や社会科学であまり光が当てられていないのが、内面的な側面です。
内面的な側面の進化
では、内面的な側面の進化をビッグバンから見ていきましょう。
ビッグバン後、原子は衝突・重力・電磁気力などで物理的・化学的に関わり合い、惑星や銀河を形成してきました。原子と原子が出会うときの内面活動は「把握」と呼んでおきましょう。
地球で誕生した生命は、植物もキノコ類も大腸菌もゾウリムシも、みんな他の生命の存在を「知覚」しながら、織物の様につながり合って生態系を形成しています。
神経系を持つ動物は、環境への固着・欲望、好き・嫌い・慈しみなどの「感情」で血族がつながり、狩猟採集の生活をしています。
さらに大脳新皮質が発達した人間は、「思考」により、血族だけでなく共通の神話を持つ社会を形成してきました。(神話的思考の社会)
『サピエンス全史』で、著者ユヴァル・ノア・ハラリ氏は
虚構が協力を可能にした。
サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福 Amazonより
と述べています。貨幣、人権、正義などの虚構により、ホモ・サピエンスは見知らぬ人との協力が可能になり、繁栄してきたというのです。
虚構は集団での農業を可能にし、王国や帝国という巨大な社会集団の形成も可能になりました。
人類の歴史と進化
16世紀のルネサンスから始まる自然科学の発達は、工業や産業を発達させてきました。これは、神話的思考よりも物質的なようでいて、実は複雑性・多様性が増した、内面の進化です。
自然科学は、目の前の現実だけでなく、起こりうる可能性、いまだ見ぬ世界を想像する多視点的な思考を要し、人類の内面は神話的思考から合理的思考へと進化していきます。
多視点的な思考は「法の下の平等」という虚構を発明し、民主国家が誕生しました。
今、私たちは合理的思考まで進化しつつある世界に生きています。
この先の進化
ではこの先はどのような進化が起きるのでしょうか。
宇宙の進化が複雑性・多様性が増しながらも、秩序・つながりを形成する方向であるならば、この先の内面の進化は意識の深度の深まり、拡大であるでしょう。
それこそが、「アセンション」であり「次元上昇」なのだと、私は思います。
だから「アセンション」は、決して神話的思考に戻ることではありません。
自然科学の発達、合理的思考を包んで、含んで、超えていく新たな統合の次元。
現世界を「把握」「知覚」して、深く広い「感情」と多視点的「思考」で、今までの宇宙の歴史すべてを包含する次元なのです。
↓
アセンションはトランスパーソナル?
この、内面の進化を考察しているのがトランスパーソナル心理学だと思っています。
↓
アメリカの心理学者アブラハム・マズロー(1908 – 1970)は、
人間は自己実現に向かって絶えず成長する
と仮定し、「欲求5段階説」を提唱しました。
【マズローの欲求5段階説】
①生理的欲求
②安全・安定の欲求
③所属と愛の欲求(社会的欲求)
④承認の欲求(尊厳欲求)
⑤自己実現の欲求
マズローは晩年に第6段階目として⑥自己超越の欲求を発表し、これがトランスパーソナル心理学の源流になっています。
カウンセリングの神様、産業カウンセラーでもお馴染みのカール・ロジャースは述べています。↓
自己にとってどんな脅威もない条件下では、防御性から離れ、生命体が自らをよりよく実現していこうとする潜在的な力に従う。
生命体が自らをよりよく実現していこうとする潜在的な力こそ宇宙進化に向かう力であり、私たちはこれからも進化し続けていくのです。
宇宙に充満する究極的な本性とは、新しい統合を生み出すことへの終わりなき動因である。(ホワイトヘッド)
新たな統合を生み出す世界こそが、トランスパーソナルであり、アセンションであり、五次元の世界。
そんなに簡単じゃない。
神話的思考に戻ろうとしても、宇宙に充満する動因に逆らってしまうから、うまく戻れない。
戻るんじゃない、新たな統合へ進んでいくのが、アセンションなんだ。
新たな統合は、誰も見たことのない次元。
それでも、私たちは宇宙に充満する動因によって、そこへ向かっている。
そんな魂の呼び声が聞こえている。
プロフィール
- 薬剤師/公認心理師/産業カウンセラー/プロセスワークプラクティショナー/森林インストラクター/森林セルフケアコーディネーター/メディカルハーブプラクティショナー/ドルフィンスターテンプル認定ヒーラー/日本森林療法協会元理事
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