解剖生理から読み解くマインド(心)のしくみ
私たちは、ボディ(身体)・マインド(心)・スピリット(魂)を持つ生命体、ホリスティックな存在です。
ルネサンス以降、西洋近代医学と心理学は身体と心の結びつきを研究してきました。今では、身体と心はしっかり結びついていることが解明されてきています。
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①マインドのしくみ
①「心」は私たちの内面活動、「思考」+「感情」
まず、英和辞典によると、『mind』の主な意味は以下の通りです。
(名詞)『心、精神、知性、知力、精神の正常な状態、正気、記憶、回想』
(動詞)『気にかける、嫌がる』
(webrio辞書より:太文字は著者の主観)
インテグラル理論では、以下のように書かれています。
言葉を通して世界を把握したり他者と意思疎通をしたりする領域であり、自己理解と他者理解を可能にする理性的、感情的な能力を含む。
(『インテグラル理論入門』春秋社より抜粋:太文字は著者の主観)
インテグラル理論入門I ウィルバーの意識論
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私たちは物質としての身体(肉体)だけではなく、心、精神、意識などと呼ばれる内面活動をしています。この内面活動全般が、「マインド」と呼ばれる領域です。
この内面活動は、思考・判断・知覚・感情・意思・情動などなどの様々に分類することができますが、「思考」と「感情」の二つに分けて考えるとわかりやすいです。
現代の私たちは「思考」を使うことが多く、「感情」を感じられなくなっている人も少なくありません。
まずは、自分の「感情」と仲良くなることが幸せを感じる第一歩になることがあります。
②「思考」は大脳新皮質、「感情」は大脳辺縁系が担当。
それでは、この内面活動「心(=思考+感情)」は、どこで生み出されているのでしょう??
ハート(心臓)とか、腸とか、天とか神とかいろいろな説があるかもしれませんが、西洋近代医学では、マインドの活動は「脳」で生み出されると考えます。
では、解剖生理学的には「思考」と「感情」はそれぞれどこが担当しているのでしょう。
私たちの脳は、機能で分けると、①大脳新皮質(だいのうしんひしつ)、②大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)、③脳幹(のうかん)という大きく3つの部位に分けることができます。
①大脳新皮質は、比較的新しく地球に現れた生物、特に私たちのような霊長類で発達していて、合理的、分析的思考や言語活動、理性的な働きを司ります。ざっくりというと≒「思考」です。⇒コトバンク新皮質
②大脳辺縁系は、大脳新皮質の奥に存在する部分で、人間の本能、情動、意欲、記憶、感情などとかかわりの深い部分の総称です。アロマセラピー学習者ならば、「香りは直接大脳辺縁系に伝わる。」と学んだことがありますよね。ざっくりいうと、≒「感情」はここが担当しています。⇒コトバンク大脳辺縁系
③脳幹は、間脳(かんのう)、中脳(ちゅうのう)、橋(きょう)、延髄(えんずい)で構成されていて、生命維持のための血圧、心拍、呼吸などを担当します。間脳の視床(ししょう)は嗅覚以外の知覚情報が集まる場所であり、視床下部(ししょうかぶ)は自律神経と内分泌の司令塔として、私たちの身体の恒常性を維持しています。⇒コトバンク脳幹
心のしくみを理解するために、「思考」≒大脳新皮質、「感情」≒大脳辺縁系が担当すると、ざっくり考えていきましょう。
ざっくり理解、ニアリーイコール≒の秘訣はこちら↓
③顕在意識は「思考」と「感情」のほんの一部分。
それでは、私たちの「心」は何を自覚して”意識”しているのでしょうか。
脳幹が担当している血圧、心拍、呼吸などは、普段、私たちは意識することはありません。
もちろん、呼吸は意識してゆっくりしたり、少しの間なら止めることもできますが、日常でずっと意識して過ごすことはありません。“意識しない(できない)”世界でカラダが勝手に動かしているできごとです。
大脳辺縁系が担当する「感情」の情報は、自律神経を通して末梢の生理的変化を起こすとともに、大脳新皮質にも連絡が行きます。すると、私たちは嬉しい、怒っている、悲しい、楽しいなど、「感情」を意識することができます。
こうして私たちは、「思考」そして「感情」を顕在意識として“意識しながら”生きています。
ところが、「感情」は層になっています。
『嫌われる勇気』で有名になった心理学者のアドラーは、「怒りは二次感情であり、怒りの層の下には、落胆、心配、悲しみ、寂しさ、傷つきなどの一次感情がある」と言っています。
これらの一次感情は、意識されていないことが多々あります。
つまり、ふだん意識している「感情」は”一部”なのです。
私は、ジャーニーメソッドという感情の層を降りていくワークを体験しましたが、それはそれは、たくさんの感情が折り重なっているもんだなぁと、感心したことがあります。
どうやら、大脳辺縁系が情報を大脳新皮質に連絡して初めて、私たちはその情報を意識することができるようなのです。
すべての情報を意識していたら私たちの心はパンクしてしまいます。だから、大脳辺縁系はいま必要だと判断した情報だけを大脳新皮質に伝え、意識させます。
ということは、私たち内部には意識されていない膨大な情報が存在することになります。
このような意識されていない世界=無意識世界を研究したのが、フロイト、ユングらの深層心理学と呼ばれる分野です。
私たちがふだん意識している部分は氷山の一角、意識されていない広大な無意識の世界が広がっているんですって。
図は⇒wikipedia『無意識』より
無意識のお話はこちらから
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プロフィール
- 薬剤師/公認心理師/産業カウンセラー/プロセスワークプラクティショナー/森林インストラクター/森林セルフケアコーディネーター/メディカルハーブプラクティショナー/ドルフィンスターテンプル認定ヒーラー/日本森林療法協会元理事
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