「シャドー」とは、生ききっていない自分の一部

「シャドー」とは、「私」から切り離された心の諸部分

私たちは誰でも幸せになりたいと思って生きています。

でも、望まない現実への怒りや諦めなどで、幸せを感じられないことがあります。

そこには、傷つくことへの恐れなどの繊細な感情が隠れていて、光のあたらない影(シャドー)として私たちが幸せを感じることを阻むことがあります。

 

「シャドー」という言葉を最初に使ったのは、心理学者のユングです。

こちらの本に、わかりやすい記述があるので、転載させていただきます。

 

ユングは、「私」のアイデンティティから切り離された自分自身の心の諸部分を「影」と呼びました。

ユングによると、「私」のアイデンティティにおさまりの悪い心の動きは否定され、切り離され、表に出ないように隠されていきます。

しかし、「私」に切り離された心の諸部分はどこにも消え去ることなく、無意識の中で注目される機会をうかがっていて、いわば背後から「私」を追い回す「影」になるというのです。

「インテグラル理論入門Ⅱーウィルバーの世界論(春秋社)」より

 

「シャドー」は、生ききっていない自分、自分だと認めていない自分

影(シャドー)は、生ききっていない自分、自分だと認めていない自分と考えることができます。

それは、怒りや嫉妬などのネガティブと呼ばれる感情を感じる自分かもしれないし、歌やダンスで自分を表現する自分かもしれないし、やりたくない仕事を「やりたくない」と思っている自分かもしれません。

私の場合は、「人からよく見られたい」と思う自分やら、「私って有能だわ」と思う自分やら、「私が世界を回したい」と思う自分までも出てきました。

もうホント、勘弁してくれよ、と思うこともしばしば。

 

それでも、ちょっとずつ、本当にちょっとずつ、あれも自分、これも自分、と、自分だと感じる範囲が増えていくと、あの世界もこの世界も自分にとって大切な世界だと気づき、そんな世界はとっても愛しくて、とってもやさしかった。

それは、『多面性を持った自分』だったように思います。

 

ユングはこの心理的過程を「個性化の過程」と呼んでいます。

ユングは、「影」と真摯に向き合うことを勧めています。

ユングに言わせると、人生の道のりは「私」と「影」との葛藤に苦悩しつつ、心の全体性の自覚に向けて歩んでいく「個性化の過程」なのです。

「インテグラル理論入門Ⅱーウィルバーの世界論(春秋社)」より

 

「シャドー」を他人に映し出したのが、「投影」

上記の本では、さらに続きがあります。

けれども、自分の「影」と向き合う作業は容易ではありません。

そのため、多くの場合、「私」はしゃくに障る「他者」のふるまいを通して自分自身の「影」と出会うことになります。

言い換えると、「私」は、自分のものとして認められない心の動きを「他者」に押し付ける傾向を持っているのです。この心的規制は「投影」と呼ばれています。

「インテグラル理論入門Ⅱーウィルバーの世界論(春秋社)」より

 

心理学用語としても知られている、「投影」(⇒wikipedia「投影」)。

なかなか耳が痛い言葉です。

 

そして、「シャドー」を強く抑圧し続けていると、身体や心の病気として現れる場合があります。

このあたりを研究したのがフロイト、ユングなどの深層心理学と呼ばれる分野です。

 

 

インテグラル理論での「シャドー」

「インテグラル理論」を提唱したアメリカの思想家ケン・ウィルバーは、意識の変容を実現するために、以下の4つの領域の鍛錬に同時並行的に取り組むことを重視しています。

①ボディ
②マインド
③スピリット
④シャドー

 

ウィルバーは、「シャドー」を以下のように意義しています。

私たちが日常生活の中で拒絶・隠ぺいしている視たくない性格や感情などで、無意識化され病理的な症状を起こすことがあり、こうした無意識の領域を積極的に探求してそこに隠ぺいされているものを健全な形で解放・統合することは、私たちが真に包括的な治癒と成熟を実現していくためには必須の活動。

「インテグラル理論入門Ⅰウィルバーの意識論(春秋社)」より

 

 

幸せになる力をつけるには、何かひとつの手法で完結するものではありません。

「ボディ」「マインド」「スピリット」「シャドー」それぞれに同時並行的に取り組むということが大切だという「インテグラル理論」は、バランスがとれていて好きです。

森で癒され、ハーブで癒され、自分が愛と光の存在であることを思い出したら、「シャドー」への取り組みにもジャンプインしてみましょう。

 

私たちの心(マインド)は、シャドーを愛と光に変容していく力を持っています。

シャドーの中に光輝く大切なものを発見し、シャドーが愛と光に変容していくと、あなたが体験する世界は大きく変わり始めます。

 

「シャドー」に取り組む前に「大いなるもの」を信頼しよう

けれども、「シャドー」に取り組む作業は容易ではありません。

「シャドー」は拒絶/排除/抑圧していた心の側面なので、場合によっては、見たくなかった自分、拒絶していたかった自分、大嫌いだった自分と対話しなければならないことがあります。

自己否定が強い状態で取り組むと逆に自分を傷つけてしまう危険をはらんでいます。

 

自分も他者も否定することのない、愛と光の深淵なる源泉から生じる「シャドー」との対話は、新たな気づきと統合をもたらし、大いなる意識の変容へと私たちを導きます。

 

そのカギを握るのは、「大いなるもの」への信頼。

・いかに、「大いなるもの」とのつながりを信じることができるか。

・起きていることはすべて最善であると信じることができるか。

・自分の魂を信じることができるか。

スピリチュアリティとは
大いなるものとは

 

この信頼は、「ボディ」「マインド」「スピリット」への取り組みによって培われます。

 

手法は何でも良いです。

1人ではなかなか難しいので、信頼できるセラピストに見守られた状態で取り組むことをお勧めします。

 

私の場合、「シャドー」と向き合う勇気をくれたのは、自然の中での体験でした。

ジャッジせず、すべてを受け入れる大自然とともに過ごした記憶は、今でも自分を超えた「大いなる存在」への信頼につながっています。

 

「シャドー」への取り組みにダイブする前には、大いなるものを信頼し、自分が愛と光の存在であることを思い出しておきましょう。

 

「シャドー」が生ききっていない自分であることに気づくと、世界に存在する自分に新たな安心感が生まれ、幸せになる力をぐっと感じられやすくなりますよ。

 

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プロフィール

飯田 みゆき
飯田 みゆき森と魂のセラピスト
薬剤師・森林インストラクター・メディカルハーブプラクティショナー・ドルフィンスターテンプル認定ヒーラー・日本森林療法協会元理事