「シャドー」とは、生ききっていない自分の一部

私たちは誰でも幸せになりたいと思って生きています。

でも、望まない現実への怒りや諦めなどで、幸せを感じられないことがあります。

そこには、傷つくことへの恐れなどの繊細な感情が隠れていて、光のあたらない影(シャドー)として私たちが幸せを感じることを阻んでいる場合があります。

これが、「シャドー」です。

この「シャドー」を健全に解放・統合していくと、幸せを感じやすくなります。

 

 

 

 

①「シャドー」とは、「私」から切り離された心の諸部分

「シャドー」という言葉を最初に使ったのは、心理学者のユングです。

こちらの本に、わかりやすい記述があるので、転載させていただきます。

 

ユングは、「私」のアイデンティティから切り離された自分自身の心の諸部分を「影」と呼びました。

ユングによると、「私」のアイデンティティにおさまりの悪い心の動きは否定され、切り離され、表に出ないように隠されていきます。

しかし、「私」に切り離された心の諸部分はどこにも消え去ることなく、無意識の中で注目される機会をうかがっていて、いわば背後から「私」を追い回す「影」になるというのです。

「インテグラル理論入門Ⅱーウィルバーの世界論(春秋社)」より

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②「シャドー」は、生ききっていない自分、自分だと認めていない自分

影「シャドー」は、生ききっていない自分、自分だと認めていない自分と考えることができます。

それは、怒りや嫉妬などのネガティブと呼ばれる感情を感じる自分かもしれないし、歌やダンスで自分を表現する自分かもしれないし、やりたくない仕事を「やりたくない」と思っている自分かもしれません。

私の場合は、「人からよく見られたい」と思う自分やら、「私って有能だわ」と思う自分やら、「私が世界を回したい」と思う自分までも出てきました。

もうホント、勘弁してくれよ、と思うこともしばしば。

 

それでも、ちょっとずつ、本当にちょっとずつ、あれも自分、これも自分、と、自分だと感じる範囲が増えていくと、あの世界もこの世界も自分にとって大切な世界だと気づき、そんな世界はとっても愛しくて、とってもやさしかった。

それは、『多面性を持った自分』だったように思います。

 

ユングはこの心理的過程を「個性化の過程」と呼んでいます。

ユングは、「影」と真摯に向き合うことを勧めています。

ユングに言わせると、人生の道のりは「私」と「影」との葛藤に苦悩しつつ、心の全体性の自覚に向けて歩んでいく「個性化の過程」なのです。

「インテグラル理論入門Ⅱーウィルバーの世界論(春秋社)」より

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③「シャドー」を他人に映し出したのが、「投影」

上記の本では、さらに続きがあります。

けれども、自分の「影」と向き合う作業は容易ではありません。

そのため、多くの場合、「私」はしゃくに障る「他者」のふるまいを通して自分自身の「影」と出会うことになります。

言い換えると、「私」は、自分のものとして認められない心の動きを「他者」に押し付ける傾向を持っているのです。この心的規制は「投影」と呼ばれています。

「インテグラル理論入門Ⅱーウィルバーの世界論(春秋社)」より

 

心理学用語としても知られている、「投影」

なかなか耳が痛い言葉です。

 

そして、「シャドー」を強く抑圧し続けていると、身体や心の病気として現れる場合があります。

このあたりを研究したのがフロイト、ユングなどの深層心理学と呼ばれる分野です。

 

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④インテグラル理論での「シャドー」

「インテグラル理論」を提唱したアメリカの思想家ケン・ウィルバーは、意識の変容を実現するために、以下の4つの領域の鍛錬に同時並行的に取り組むことを重視しています。

①ボディ
②マインド
③スピリット
④シャドー

 

ウィルバーは、「シャドー」を以下のように意義しています。

私たちが日常生活の中で拒絶・隠ぺいしている視たくない性格や感情などで、無意識化され病理的な症状を起こすことがあり、こうした無意識の領域を積極的に探求してそこに隠ぺいされているものを健全な形で解放・統合することは、私たちが真に包括的な治癒と成熟を実現していくためには必須の活動である。

「インテグラル理論入門Ⅰウィルバーの意識論(春秋社)」より

 

 

幸せになる力をつけるには、何かひとつの手法で完結するものではありません。

 

「ボディ」「マインド」「スピリット」「シャドー」それぞれに同時並行的に取り組むということが大切だという「インテグラル理論」は、バランスがとれていて好きです。

森で癒され、ハーブで癒され、自分が愛と光の存在であることを思い出したら、「シャドー」への取り組みにもジャンプインしてみましょう。

 

私たちの心(マインド)は、「シャドー」を愛と光に変容していく力を持っています。

「シャドー」の中に光輝く大切なものを発見し、「シャドー」が愛と光に変容していくと、あなたが体験する世界は大きく変わり始めます。

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⑤「シャドー」に取り組む方法

「シャドー」に取り組む方法法は、星の数ほどあります。

 

私が体験したものは、

ヒプノセラピー
・インナーチャイルドセラピー
ジャーニー
誘導瞑想(ただの気持ち良い瞑想ではなく、感情や信念について扱います。)
プロセスワーク
・ビリーフワーク(サイモントン療法)」
・バイロン・ケイティの『ザ・ワーク』

などです。

 

どれも、拒絶/排除/抑圧していた心の側面と対話して気づき得るもので、慣れるまで私は本当に苦労しました。

 

セラピーの種類は数あれど、共通する流れは次の3ステップです。

「大いなるもの」にアクセスする。

いつもと違う意識状態から新しい気づきを得る

「幸せになる力」を感じる。

 

新しい気づきにより、「シャドー」すなわち拒絶/排除/抑圧していた心の側面が自己に統合されると、現実の出来事は同じでも、自分の内面でとらえ方が変化します。

 

たとえば、

その出来事が気にならなくなったり、

相手の気持ちに寄り添えたり、

はっきり伝える決心ができたり・・・。

 

それは、『U理論』での、Uの谷。

「シャドー」への基本はU理論

 

実は、「シャドー」には大切な役割と叡智が隠れています。

頭(思考)での理解ではなく、身体(感情)レベルで「シャドー」の意味に気づくと、自分を守ってくれていた「シャドー」の大きな愛を感じることもあります。

 

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⑥「シャドー」に取り組む前に「大いなるもの」を信頼しよう

けれども、「シャドー」に取り組む作業は容易ではありません。

「シャドー」は拒絶/排除/抑圧していた心の側面なので、場合によっては、見たくなかった自分、拒絶していたかった自分、大嫌いだった自分と対話しなければならないことがあります。

自己否定が強い状態で取り組むと逆に自分を傷つけてしまう危険をはらんでいます。

 

自分も他者も否定することのない、愛と光の深淵なる源泉から生じる「シャドー」との対話は、新たな気づきと統合をもたらし、大いなる意識の変容へと私たちを導きます。

 

そのカギを握るのは、「大いなるもの」への信頼。

・いかに、「大いなるもの」とのつながりを信じることができるか。

・起きていることはすべて最善であると信じることができるか。

・自分の魂を信じることができるか。

スピリチュアリティとは
大いなるものとは

 

この信頼は、「ボディ」「マインド」「スピリット」への取り組みによって培われます。

「ボディ」から心の癒しへアプローチする

「マインド」から心の癒しへアプローチする

「スピリット」から心の癒しへアプローチする

 

「シャドー」への取り組みにダイブする前には、大いなるものを信頼し、自分が愛と光の存在であることを思い出しておきましょう。

 

私の場合、「シャドー」と向き合う勇気をくれたのは、自然の中での体験でした。

ジャッジせず、すべてを受け入れる大自然とともに過ごした記憶は、今でも自分を超えた「大いなる存在」への信頼につながっています。

 

 

「シャドー」が生ききっていない自分であることに気づくと、世界に存在する自分に新たな安心感が生まれ、幸せになる力をぐっと感じられやすくなりますよ。

手法は何でも良いです。

1人ではなかなか難しいので、信頼できるセラピストに見守られた状態で取り組むことをお勧めします。

 

 

 

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プロフィール

飯田 みゆき
飯田 みゆき森と魂のセラピスト
薬剤師/公認心理師/産業カウンセラー/プロセスワークプラクティショナー/森林インストラクター/森林セルフケアコーディネーター/メディカルハーブプラクティショナー/ドルフィンスターテンプル認定ヒーラー/日本森林療法協会元理事