「森の癒し」は個人の感受性に左右される
「森の癒し」は、自己を超えた大きな自己、「大いなるもの」を感じさせてくれます。
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私たちは、ただ自然の中で過ごすだけでも遺伝子の記憶に導かれて調和と安らぎを感じることができますが、↓
さらに、自分の心地よさを大切にすることが、「森の癒し」の大きなヒミツであると、私は感じています。
「森の癒し」は、個人の感受性に左右される。
森林療法は代替療法のひとつです。代替療法の特徴として、受け手の感受性に左右されやすいというものがあります。
アロマセラピーを学んだ人なら、ラベンダー精油の中の酢酸リナリルにリラックス効果が知られていても、ラベンダーの香りを嫌いだと感じる人には、勧めないですよね。
森林では、マッサージのような物理的な刺激があるわけではなく、漢方薬やハーブのように化学成分が消化・吸収されて効果を発揮するのでもありません。
「森の癒し」には、フィトンチッドも含めて、五感の刺激による全体的な快適性、調和感が影響を与えているのだと考えます。
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千葉大学環境健康フィールド科学センター教授の宮崎良文先生は、著書の中で以下の研究結果を紹介しています。
『スギ材などの自然の香りは、本人は不快であると感じた群でも生体にはストレス状態が生じなかった。』
(「森林浴はなぜ体に良いか」より)
さらに同じ著書の中で、以下の結果も報告しています。
『カモミール油の香り刺激により、全体平均では収縮期血圧はやや低下するにとどまったが、快適であると評価した群では有意に(統計的にみて違いが有るほどに)低下した。』
(「森林浴はなぜ体に良いか」より)
不快と感じても身体はストレス状態にならないけれど、快適と感じた場合にはより大きくリラックス状態になっているのです。
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森林は、そこに入るだけで癒しをもたらす効果を持っていますが、自分の主観、「心地よさ」を大切にすることで、より積極的な快適性、そして調和感を得られます。
様々な森林での体験活動がある中で、自分が快適だ、調和すると感じたことを健康のために取り入れることが、大切なのでしょう。
そんな理由から、NPO法人日本森林療法協会は現在、「森林療法」ではなく、「森林セルフケア」という名前で普及活動を行っています。
森林セルフケア体験会は、自分観察会
森林セルフケア体験会で大切にしているのは、自分の感覚を観察すること。五感の刺激あふれる森の中で感覚をとぎすまし、観察します。
自分にとって何が心地よいのか。
何が心地よくないのか。
自然界は、何も言わずにそのままの自分を迎え入れてくれます。
遺伝子の記憶に導かれて「大いなるもの」を感じつつ、そのままの自分を観察する。それは、自分と自分をつなぐ大切なプロセスです。
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それは、植物療法でも同じこと。
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NPO法人日本森林療法協会の元理事長は、森林セルフケア体験会を自分観察会と呼びました。
森林セルフケア体験会で自分をあるがままに受容し、一人ひとりが自分の大切さ、かけがえのなさを信じることは、人が生まれながらに持っている「幸せになる力」を引き出す素地となるでしょう。
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「森の癒し」の奥には自分とのつながりがあり、それは、この先の心の癒しへの旅路へと向かう準備を整えてくれるのです。
プロフィール

- 森と魂のセラピスト
- 薬剤師・森林インストラクター・メディカルハーブプラクティショナー・ドルフィンスターテンプル認定ヒーラー・日本森林療法協会元理事
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