森林療法のエビデンス「マイナスイオン」

滝の近くで発生されるというマイナスイオン。健康に良いらしいという評判で2000年前後に話題になりましたが、科学的な実態は不明とされています。

今回は、このマイナスイオンの効果に挑んだ研究者が2001年と2011年に発表している研究を紹介します。

☆注意事項☆

森林療法のエビデンス各ページでの研究紹介は、タイトルも含めて省略する過程で要約者の主観が入ります。引用する場合は必ず原著をお読みください。

 

長期マイナスイオンがヒトの生理機能、免疫機能に与える影響

〔対象〕健康人ボランティア10名(男性9名、女性1名)年齢29~51歳。

〔方法〕被験者の寝室にマイナスイオン発生器を設置し、夜間AM1:00~AM6:00の5時間、自動的にマイナスイオンを発生させた。マイナスイオンの暴露は3週間ずつ二重盲検で入れ替えた。

被験者は毎日早朝に血圧を自己記録した。また、暴露期間前後にうつ状態、気分、緊張度を示す項目について主観的評価を行った。さらに、暴露期間前後の早朝に逆算計算試験、数字逆唱試験、名称想起試験、深呼吸試験をした後に母指球で局所発汗量を記録、直後に採血した。

〔結果〕主観的評価ではイオン暴露群が非暴露群より有意に増悪する項目はなく、有意に良好となった項目が4項目あった。

イオン暴露群は名称想起試験による局所発汗量が少ない傾向にあった(有意差なし)。血液検査では、イオン暴露群での白血球数、リンパ球数、肝機能、腎機などへの障害作用は認められなかったが、NK細胞数は低下が示された。

〔考察〕過去の報告で数時間以内の短期暴露試験においてマイナスイオンの作業効率の改善、交感神経緊張低下などが示されている。今回、3週間の長期に及ぶ暴露での主観的評価の改善が示された。

血圧や発汗に示される交感神経緊張の改善は、従来の短時間暴露の検討に比べればその差異は少なかった。イオン暴露で見られたNK細胞数の低下は、免疫学的にストレスが少ない状態であったことが示された。

(日本温泉気候物理医学雑誌第64巻3号123-128,2001 5月)

 

気候療法-特に空気中のマイナスイオンについて

〔対象〕健常男子大学生10名、平均年齢21.6歳。

〔方法〕計算負荷、休憩、逆唱負荷、休憩、深呼吸負荷をした後、電流知覚閾値を計測した。その後3分間15℃の両手冷水浸水負荷試験を行い、15分後まで手指温を記録し、採血した。

〔結果〕マイナスイオン暴露でNK細胞数は対照より有意に低値、また慢性疼痛閾値は上昇し、疼痛軽減作用を示唆した。冷水負荷試験後も交感神経緊張抑制作用が示された。

(日本温泉気候物理医学会雑誌第75巻1号31-32,2011)

【筆者補足】

研究者の渡部一郎先生は、マイナスイオンを荷電した水蒸気や空気中浮遊物としています(所説あり、定まっていません。)。

そしてブームが去った2010年代にも研究を続けていることがわかります。

NK細胞は活性が高まると免疫機能が高まったと解釈することが多いです。が、渡部先生の考察では細胞数が減少したことでストレスが少ない状態になったと解釈しています。このあたりの微妙な解釈の違いは難しいところですね。測定方法も難しすぎて、私の理解の範囲を超えていました。

地球上で観察された現象をどのように次の推測に使うのか、サイエンスは一筋縄ではいきせん。まだまだ謎多きマイナスイオンです。

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プロフィール

飯田 みゆき
飯田 みゆき森と魂のセラピスト
薬剤師・森林インストラクター・メディカルハーブプラクティショナー・ドルフィンスターテンプル認定ヒーラー・日本森林療法協会元理事