森林療法のエビデンス「生活習慣病予備軍」

今回は、生活習慣病まではいかない予備軍に対する保養効果を検討した研究を紹介します。

☆注意事項☆

森林療法のエビデンス各ページでの研究紹介は、タイトルも含めて省略する過程で要約者の主観が入ります。引用する場合は必ず原著をお読みください。

温泉リゾート地での短期保養効果の検討

〔対象〕参加者は、健康診断で高血圧症、糖尿病、肝機能障害、高度肥満、消化性潰瘍、自律神経失調症などの軽度異常があり、医師から日常生活習慣の改善を指導された男性30名(40歳~53歳、平均45.2歳)。治療薬剤の服用者は対象から除外した。

〔方法〕5泊6日の保養期間中禁煙と禁酒、体操、種々の球技、ハイキング、森林浴、温泉浴などを実施。2日目と5日目の早朝に身体測定と血液生化学的所見を測定した。

〔結果と考察〕

1)体重平均

30名全員の体重は3日間で平均1kgの減少がみられた。特に高度肥満のある15名では平均1.6kgと有意に減少した。そうでない群では0.3kgとわずかな減少に留まっていた。トリグリセライド(中性脂肪)とリン脂質は有意に減少し、期間中に顕著な体内脂肪の移動があったことを示している。これは、日中に全身の身体活動を行うプログラムを組み、1日平均摂取熱量を2360kcalになるような食事をしたことで、日常生活よりも摂取熱量が減少したことにより生じたものと考えられる。

2)血圧値の変化
全体では収縮期血圧は前後で有意に低下したが、拡張期血圧に有意な変化は認められなかった。しかし、高血圧群(9名)では拡張期血圧はわずかに低下、正常血圧群(10名)でわずかに上昇傾向が認められた。すなわち、高血圧傾向を呈していた者にとっては血圧降下的に作用したことがうかがえた。

3)脂質代謝の変化
総コレステロール値は参加者全体では変化がなかったが、高値群では低下、低値群では上昇といずれも有意に変化した。HDLコレステロール値は特に低値群で有意な上昇が認められた。

4)糖質代謝の影響
参加者全体では血糖値は有意に増加した。特に高血糖傾向のない者は平均で8.5mg/dlと有意な増加を示したが、医師により過去に高血糖傾向を指摘され、空腹時血糖値が110mg/dl以上を示した10名は、前後での増加は2.7mg/dlとわずかだった。したがって、血糖値の増加は高血糖者の場合は顕著でないことが示された。

5)参加者への質問紙調査から
参加者の大部分が精神的解放感を得て満足したとし、生活習慣の改善の目標を持てたとしている。この保養実践は自己の身体状況の改善過程を認識することによって、日常生活での生活習慣改善の動機づけは満足すべき効果があった。この効果は1、2年後に身体所見や生活習慣改善状態をみることで判断されるものでもある。

(上畑ほか.日本衛生学雑誌,44(2):595-606,1989.)

【筆者補足】
5泊6日の温泉保養の実践で、体重、血圧、コレステロール値、血糖値と、様々な生化学的検査を実施しています。

全体では変化がなかった場合でも、高値群と低値群と分けて検討することで、興味深い結果が出ていますね。

一番の効果は「生活習慣改善の動機づけ」につながっていることでしょうか。自分の身体とじっくり向き合うことが、生活習慣改善への意欲につながるのかもしれません。

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プロフィール

飯田 みゆき
飯田 みゆき森と魂のセラピスト
薬剤師・森林インストラクター・メディカルハーブプラクティショナー・ドルフィンスターテンプル認定ヒーラー・日本森林療法協会元理事