HSPの1番目の側面は「深く処理する」。エンパスもきっとそう。
先日、HSP(ハイリーセンシティブパーソン)の映画『SENSITIVE』の鑑賞会を開催しました。
HSPの1番目の側面は「深く処理する」
アーロン博士はHSPの側面として4つの側面をD.O.E.Sで表しています。
D.O.E.Sとは、”高い敏感性の人がもつ4つの側面”のことで、
Depth of processing(=プロセスの処理が深い)、
easily Overstimulated(=刺激を強く受けやすい)、
Emotional responsiveness(=感情的な反応が強い)、
empathy and sensitive to Subtle stimuli(=微妙な刺激に対する共感と敏感さを持っている)
を表しています。これはHSPならほとんどすべての人が持っている側面で、個人のバックグラウンドにも左右されることはありません。
⇒HSP(ハイリーセンシティブパーソン)は天から与えられたギフト
この中で、映画で1番目に紹介されていたのが、
『Depth of processing(=プロセスの処理が深い)』
でした。
エレイン・アーロン博士は心理学者。
専門用語として敏感さを『Sensory-Processing Sensitivity (=感覚処理感受性)(SPS)』と呼んでいます。
私たちは、環境からの情報を五感を通して認識します。
五感の知覚神経は、視覚は光、聴覚は大気の振動、嗅覚と味覚は気体と液体の化学物質、触覚はその他の物理的な刺激情報を、それぞれ電気信号に変えて脳に送り届けます。
脳は、その情報から必要な処置を判断し、運動神経や自律神経を通して私たちにとって必要な処置を施します。
身体が今、ココの環境で適切に生きていけるように五感と脳はいつも連携をとって働いています。
このとき、HSPと非HSPでは外部環境の情報を処理する(process)経過に違いがあるようなのです。
『Sensory-Processing Sensitivity (=感覚処理感受性)』
という言葉には、アーロン博士の『処理:Process』に対する思いを感じます。
HSPは、ただ光や音に敏感なだけではないのです。
敏感な特性を表す言葉に『エンパス』もありますが、『処理する』ことについて言及されている文章を私は見ていません。
それは、セルフチェックテストにも現れています。
HSPセルフチェックテスト(アーロン博士のサイト)と、あなたのエンパス度チェック(精神科医オルロフ博士の著書より)において、騒音・光などの物理的な刺激、他人の気持ちへの敏感さのチェック項目は重複します。
しかし、HSPのセルフチェックテストには、
□豊かな想像力を持ち、空想に耽りやすい
□美術や音楽に深く心動かされる
というエンパス度チェックにはない、『処理:Process』の深さに関する設問があります。
また、
□とても良心的である I am conscientious(何かをするときに、誠実に、良心的に、注意深く、真心をこめて、行き届いた、きめ細かに、細心の注意を払って、きちんと、適切に、正確に行う).
という、良心的な人ほどチェックするのをためらうような項目もあります。
これについては、日本語管理者の方の考察が参考になります。
↓
以下のアーロン博士の文章を読んで、確かにこの項目はHSPの神経システムの特徴、特に深く処理するという特徴をよく表している設問なのではないかと思うようになりました。
“原因がもたらす結果にとても敏感なので、より良心的に行動しようとする。これはHSPが、このままにしておいたらどうなってしまうのか、あるいはこうしたらどんな結果が待ち受けているのか、ということについてよく考え、結果を予測し、それに基づいて行動しようとするからである。”
“私は、HSPの持つ誠実さ倫理観の高さは、他人が作った倫理規定を遵守しなければならないという気持ちよりも、この行動がどのような結果に結びつくのか、ということを非常にリフレクトする(何度も考える)結果として生じているように思える。”
(PSYCHOTHERAPY and the Highly Sensitive Person p.6, 25)
映画『SENSITIVE』では、HPSでは脳の「島皮質」という場所が活性化されているという研究も紹介されています。
島皮質は、情報を処理して感情を体験するときに重要な役割を持ち、瞑想する人は右の島皮質後部が厚く、中毒にも関連しているそうです。⇒wikipedia『島皮質』
エンパスの人も深く処理をしていると思います。
今述べたチェックテストの違いは、エンパスの人が深く処理をしていないということではありません。
私は、『HSP』は科学界(心理学)の言葉、『エンパス』はスピリチュアル界の言葉だと思っています。
両者は同じ特性を違う世界で語っているだけです。
エンパスの人もきっと、脳の中で深く処理をしているはずです。ただ、今までそこに焦点を当ててこなかっただけ。
人類の歴史の中で、20%ほど存在した敏感なひとは長い間生きにくさを抱えて生きてきました。
繊細さよりも強さを、内向性よりも外向性を求められる世界で、自分の存在を祝福できずに生きてきたことでしょう。
そんな人々に『HSP』や『エンパス』という言葉は、自分の存在にYES!と言うきっかけを与えました。
まずは、自分の存在を祝福できるようになること。
すると、HSPやエンパスではない80%の人々の存在も祝福でき、世界の美しさを感じられるようになります。
HSPやエンパスのひとが豊かな内面性を祝福して拡大していくことは、ビッグバンからつながる宇宙の進化に貢献していく。
と、私は勝手に思っています。
プロフィール
- 薬剤師/公認心理師/産業カウンセラー/プロセスワークプラクティショナー/森林インストラクター/森林セルフケアコーディネーター/メディカルハーブプラクティショナー/ドルフィンスターテンプル認定ヒーラー/日本森林療法協会元理事
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